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サカサマのパテマ 【吉浦康裕監督】

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映画館で鑑賞。


見に行こうか迷ってましたが、今月はアニメ作品で観たいのがあったので勝手にアニメ月と決めてこれも見に行こうと決意。
「イブの時間」も1シチュエーションドラマ、ロボット三原則を上手く使った話で面白かったので期待して劇場へ。
ただ、決意が遅かったので上映時間が限られてて朝の9時からの上映分、しかも市内の劇場のみ・・・早起きして頭をぼーっとさせながら劇場へ。


【あらすじ・解説】『イヴの時間 劇場版』などのアニメーション作家、吉浦康裕が原作・脚本・監督を手掛け、好奇心旺盛な地下集落のお姫様・パテマの冒険をつづるヒロイン・アニメ。地下にある狭くて暗い世界を舞台に、防護服を着用しながら生活する環境にありながらも、前向きなヒロインと明るく暮らす人々が描かれる。気鋭のアニメーション作家が描く、緻密で幻想的な世界観に注目だ。[Yahoo 映画]


テーマがよく、何を言いたいのかは解りましたし、言いたいことは解りましたが作りが甘すぎました。

ちょっと言いたいことがたっぷりあるのとネタバレは過分にありますので未見のかた、鑑賞を楽しみにされてるかたはお気をつけください。


まず、「天空の城 ラピュタ」
これを意識したのか潜在的に似てしまったのかはさておき、見た印象で似てる雰囲気あります。テーマが向こうがボーイミーツガールの王道アドベンチャーに対して、そこまで王道に迫れてはないので演出、展開で似てるシーンがあるくらいだけなんですけど。世代的にもあの作品を見る、どこかで知ってるので似ちゃうのは仕方ないかもしれないですね。
似た感じの演出がありますが挙げると。
空に吸い込まれたシーンや、パテマを受け止めるシーンはバズーがシータを助けるシーンに似てますし、気球もどきの船内でおでこをくっつけるのは、ラピュタでの飛行船でもあったシーンだったり確かにデジャブ感はありますが。
冒頭のシーンは「ナウシカ」に近いかな。ってこれ言い出すとアニメ作れないですね。それほほど似て無いです。思い返せばそういえばくらいで。それにしても宮崎アニメに影響力は大きいですね。

それよりも見てて引っかかったのが、主人公たちが出会うシーン。
二人ともセリフで関係を補っちゃってるのが「今」のドラマ作りの限界なのかも。おじさんのたわごとと取って欲しいのですが。
上空に吸い込まれそうな謎の少女。手が届きそうになるところにいる少年。目が助けて欲しいと見てる。そこに手を出してつなぎとめる。これだけで少年のまっすぐな心と少女の守らなきゃいけない子の関係が作れるのに。そこにパテマの王女様キャラとエイジのどこか鬱屈したキャラを掘り下げようとセリフでのやり取りが開始。
人は助けようとしたときに何か「助けて欲しい」「助けて欲しいですか?」なんてセリフがいるのか。要らないでしょ。
言うなら助けて少し安全になったところでやり取りを出すべきで、私の中ではこのセリフのやり取りで鑑賞気分を一気に冷めました。まだ眠いってのも影響はあったでしょうが。

パズーは静かに落下する少女を一生懸命抱きしめ、少女は眠ってる。シチューエーションこそ違いますが二人の関係がこれで充分伝わったシーンなんだと今になって思います。当時はそんなこと考えなしで見てましたけど。
こんな感じで、映像とセリフが全部説明に使われてしまってます。

また、その絵がイマイチ解りづらい。
エイジたちの暮らす、地上ではベルトコンベアみたいので半強制的に学校に職場に連れてかれる映像を作りたかったようですが、すっかすかのコンベアなので歩かなくて運んでくれる便利な道具にしか見えず。人口が少ない映像も兼ねてるのかもしれませんがその割りに大規模なコンベアなのでエネルギーの無駄じゃない?とどっちにしろ突っ込みどころ。
で、この社会は昔、反重量装置を作って失敗して空に吸い込まれてしまった人が罪人の扱い。助かった人々は空を見ることが禁忌に近くみんな下を向いて生活する。そんな現状なのですが。
お偉いさんの住居、もしくは機関の建物が高層ビル。あれ空は禁忌なのになんで高いビルを建てるの?こういうときは平屋でないの?と。偉いさんは高いところが好きという金太郎飴のように作ったビルゆえなのか都市形成にもなんでだろうと思うシーンが多々。

最大の疑問は地上(上にもそう書きましたがそうではないですが)、地下民の交流の謎。
もとは同じ地球人(地球人すら設定あってるかどうか)が上の反重量装置の失敗で地面の裏で生活する人々と地上で生活する2つの民族が生まれました。地下民は地上の人々を人攫いのように恐れ、地上の人々は罪人として地下民を嫌ってました。
そうしまうと、歴代の悪人って奴はそういう民族をよそへやるか根絶やしにしようとするわけです。もしくは調べる。どれもせずに自分たちの生活する真下にいることを知っていて、通じる穴を金網で塞ぐ程度。しかも、なぜか自分たちの重要機関のビルと繋がってたりします。
なんて稚拙な組織って話ですし、人間の差別の根源は恐れもあります。知らないものだからってのが大きいのですが誰も彼らについて知ろうとしないってのも不思議な話。
そう、この映画で最大の欠如は好奇心の無さ。

人は好奇心と無限大の縄張り意識で今までの繁栄があったわけで。
動物は自分たちの届く範囲くらいしか縄張り意識はないですが人、人類は違います。全てを欲します。海の彼方に何があるか解らないなら好奇心が刺激され大海原に。空の先に何があるか、星が見えるならその先に行こうとします。
これは知らないものを怖いと思うところから出てくるのかもしれません。知らないことを知りたい。そしてそれが好奇心の種かもしれません。そうやって人は知らない世界を塗りつぶして知ってる世界に変えて生きました。地球の端から端へ、一通りまわると今度は海底へと。

この世界はそういった好奇心ってのがゼロで地べたにはいつくばったでしか生きてません。
2人だけそういった好奇心を持ち合わせてる人間が居ましたけど少なすぎ。人の好奇心ってそんなもんじゃないでしょ。

あとは想像力。これは摩訶不思議な世界ってわけではなく、作ってる世界が他人から見たらどう見えるかの客観性に近いのですがこれが不足気味。


散々に書きましたがもう少し続きます。

テーマで人を思う心がありました。
パテマの空に吸い込まれるという恐怖は現実の私たちには想像できません。
私は見上げながらあるくのが苦手なのでバランスを崩しそうで怖いとは空を見上げると思うのですがこれとは別です。
そらに落ちていく恐怖はなって見ないと解らない。言葉で心のどこかで解ってもそれはちゃんと解ってるのとは違う、なってみて初めて彼女の怖さを知った、とエイジのセリフがあり、これを伝えたかったのか、と映画の中身がやっと見られるわけですが。体験しないと解らないことも多々あります。けど、相手を思いやるのに同じ体験せんでもええでしょって話。相手を思いやるだけでもいいんじゃない。
ま、この映画ではそれよりも、同じ目線、立場にならなければ解らないことがいっぱいあるって話なんですけど。そこまで同じになる必要があるのか。相手を思う気持ちだけでも人って充分になることも多々あると思います。
言いたいことは正しいので全部否定する気はないです。


あとは細かい演出とオチですが。

反重力に関して。
髪の毛の動きなどでパテマが違う重量下に居る演出が出来たのに彼女の髪はそうとうがっちがちに固められてるようでまったく動かず。髪の動き一つで印象が変わる、代わりに膨大の絵が必要になりますが結構重要なのであれば良かったです。
あとたまに重力があべこべに。パテマの持ってた道具が地下でエイジと同じ重力下になってた、これは勘違いかもしれませんがあったような気がします。

あとはご飯。アニメとご飯はわたしのジブリから受けた持論ですが。
今回はビニール袋に入ったカレーパンみたいなもの。美味しそうではありません。
けど、パテマは美味しそうに食べてます。何を食べてるかでその世界が解りやすくなるとは言いますが。幸せそうな世界でないことはこれからも解ります。地上、地下両方が。
なので、もっと美味しいものが食べられる世界を見たいです。

かなり酷く書きましたが言いたいことなどは嫌いでなく私の体調(眠気だけですが)も万全でなかったのでマイナス要素が多かっただけかもしれません。星2まで酷くはなく、3をつけるのにはいくつも足りないけど、踏みとどまって3にしてます。




総評:★★★☆☆-
映像 (3) 構成力・展開 (2) 脚本(3) 役者 (3)
演出力 (2) キャラクター (3) オリジナリティ(2)
五段階評価です

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そして、世界ですが。
これは地球が丸くない、平な中世の世界の話なのでしょうか。
マントルも無ければ地球の中心といわれるところがなく、その先には謎の世界が。
以下、本当にネタバレになります。























あの空の彼方にも生活空間、工場みたいのがあり人が居そうでしたけどだれも登場せず。
空の彼方に上った人たちが生活してる空間かなと思いましたが、ラストに。
まさかの本当の地上が登場。
あれ、どこが本当に世界でこれは地球なのかって話。
まっ平な昔の人々の想像していた地球ならしっくり来るのですが。
そもそも地球の概念である重量も引力もそれなら無視できますし。

ただ、話が地球の体で進んでますので地球の既成概念に囚われてしまいます。
やはり人は重力からは逃れられないっていうガンダム論に勝負してるかどうかわかりませんが(笑)
それすら取っ払えてたら見たときの感想は違ってたのかもしれませんが既成概念で固まった私にはそこを壊すことが出来ず。
重力と引力に囚われたオールドタイプのようです(笑)

































以下、ネタバレ感想でした。

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