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ハッピーエンドの選び方 【シャロン・マイモン監督】

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映画館で鑑賞。


苦痛の無い死というのに興味を持った作品。
まあ、新発明というわけではなかったのですが。
尊厳死、安楽死という難しいテーマで観客賞を勝ち取った作品と聞いてましたのでどういう展開を見せるのか?
コメディということで見やすい?のかなどを期待を膨らませて劇場へ。



【あらすじ・解説】第71回ベネチア国際映画祭ベニス・デイズ BNL観客賞などを受賞した、人生の終盤に差し掛かった老人たちの最期の選択に迫るヒューマンドラマ。監督の実体験をベースに、命尽きる瞬間まで自分らしく生きようとする人々の姿をユーモアを交えて映す。ベテラン俳優のゼーブ・リバシュとレバーナ・フィンケルシュタインが夫婦役で出演。死に直面しながらもポジティブに生きる主人公たちの姿に勇気と元気をもらう。[Yahoo 映画]



期待していた笑いの部分はほぼ無く。ところどころあるんですけども。
それよりも、終活ってやつですか。
人生の終わりにさしかかり、どうやって最期を迎えたたいですか?
という映画。


もちろん、理想はとくに大病を煩わせることなく、健康に生きて、寝てる最中に心臓発作で・・・が一番ですかね。か、家族に看取られて静かに。なんてのも。


けど、人生はこう易々と上手いこと出来ません。
数多の病、攻める年にも勝てることは難しく。いくら健康でいたくてもいつどう体が蝕まれるか解りません。


恐らく、この映画を全否定する人はいると思います。面白い、面白くない以前に尊厳死がテーマですので。
私は、尊厳死は賛成の人間です。

これが20も満たない若者とか、いや、青年もですね。働き盛りの人とかも。
そういう人の話でしたら、もっと生きようとしろよ!って思う人間ですが。
70、80を越えて、大病を患い、治るかどうかも解らない。それなのに、病気の苦痛に苦しみあと何年この病と苦痛と闘わないといけないんだ?そもそもこの苦痛は治るのか?治った先にあと何年生きられる?と思うと尊厳死、安楽死というのは選択の一つとしてあるべきかな、という考えがあります。
勿論、治る可能性が充分にある、本人は生きたいと思ってる、家族がそう願ってる人が居る場合はそれでいいと思ってます。
あくまで本人や、周りの親しい人がそれならってことが前提なのですが。

なのでこの映画は「死」を受け入れられてる環境で話が進んでます。

これは以外でしたね。
もっと論争が起こるのかな?と思ってました。
製作国がイスラエル。ユダヤ教などは自殺がタブーとされてます。
どの宗教でもタブーですが、日本人の感覚とは違うはずなので、以外に宗教のことは出さず。この安楽死、尊厳死が自殺の幇助ということで犯罪かどうか、というレベルでしか話し合わなかった点。同じテーマを取り扱った「ミリオンダラーベイビー」ではもうちょっとこの部分に触れてましたので。まあ、宗教の話を出したらきりが無いのでいったん置いといたんですかね。

と、まあ、周りが「死」「死」「死」のわけですから楽しい映画ではありません。
唯一、見ていられたのは貧困が無かった点ですかね。

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イスラエルは社会保障がしっかりしてるのか、孤独老人や介護の無い老人、劣悪な施設、みたいな描写は無し。とくに大金持ち、ってキャラでもなかったですが。職があって、白人だからですかね。こんな充実した施設ならまだ老後に明るい光が差すのですが。イスラエルの白人だけかもしれないですが、この社会保障はうらやましく見えたり。

老後は自分のことでも、他人事ではないですし。どの国も老後の難しさが出て来てますから。日本も老人介護はどうするんだ?ってのがよく取り上げられてます。私も親がそろそろそういう時期ですのでほんと他人事ではなく。よく人ってどこまでが生きてるんですかね。
この映画では一応意識のある人々の話でしたけど、意識が無い人の話もあるわけですし。劇中でチラと描かれてましたが「アルツハイマー」でもう意識がはっきりしてる時間が短い人もいるわけで。うーん、やっぱり難しい。


この映画はそこまで行くと難しくなるので。
人としていられる、よりも自分でいられる時間に絞って描かれてます。

自分も含めて周りの老人たちの生きる苦しみって部分と。
最愛のパートナーとどうお別れをするのか。

この部分に関してはネタバレになりますので「一応」後で書きます。



キャストは見たこと無い人ばかりですけど、なかなかの個性的なキャラを皆さん演じられてみやすかったです。

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主人公の工作得意おじいさんもがっちりしていてどこか奥さんが居ないとダメな男っぷりで。
主人公の奥さんは綺麗な人で。若いときはもっと綺麗そうという印象。

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あとは、以外な同性愛者老人なんて役だったり。あと、パーマがっちりなで勝気な人って世界共通なんですね(笑)写真だとパーマのイメージないですけど映画で見たときは大阪のおばちゃん?!と思うくらい(笑)


まあ、最初から最期まで老後、老人、死と重い暗いテーマで進みますので見ていて楽しい映画ではございません。
けど、現実問題を考える、という意味では見ておいて損は無いと思います。尊厳死を推奨するわけではないですが。そういう選択肢もあるんだよ、ってのが出来ればいいかな。
生きていくのも苦痛なだけ、の場合もありますので。



総評:★★★★☆
映像 (3) 構成力・展開 (4) 脚本(5) 役者 (4)
演出力 (4) キャラクター (4) オリジナリティ(5)
五段階評価です

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ではネタバレ込みの感想続きを。

周りに老人たちの「死」に関しては少し喜劇のタッチで。
そして、最愛のパートーナーの部分に関してはラブストーリーとして描かれてます。

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うーん、もしかしてこの映画って実はラブストーリー?とまで思い浮かべました。
恐らく、そんなこと考えるのは私くらいか。
けど、「君に読む物語」にも通じる、恋愛のラストエピソードと言ってもいいような。
愛する人と、どうお別れしますか?という話なわけで。
生きていて欲しい、ずっとそばにいて欲しいという気持ちと。彼女が彼女でなくなってしまう怖さ。そして、その怖さに震える彼女に何かしてあげたい、けど何もできない苦痛。


私はハッピーエンドとして受け取りました。
万人が思うハッピーエンドではないですけど、愛する彼女が彼女のまま最期を迎えることが出来た。彼女の思いを汲んだ上で。勿論、彼女が死を望んでいないのなら長生きできるように応援するのが一番です。

けどアルツハイマーの一番怖いのは、治る可能性がほぼ無いこと。手術をしても、薬を飲んでも改善できるかどうかは未だ不確かです。そして、体は生きてるのに心は死んでしまう。それは、やっぱり「人」として生きてると言えるのか。ほんと難しいところなんですけどね。治らないけど、治る可能性もあるわけで。
けど、彼女は「自分」で居られるうちに決断したいと、心で決め。
彼女は尊厳死反対派として登場していたので、それでもという心の変遷があり。

あ、そうなると尊厳死推奨みたいにも見えるのか・・・ほんと難しい。



まあ、私としては最愛の人のまま別れられてよかったのでは?というハッピーエンドの映画でした。




最後までお付き合いいただきありがとうございます<(_ _)>

























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