歩いても　歩いても　【是枝裕和監督】

ＤＶＤで鑑賞。

時間のあるときは、じっくり見れる作品を押さえますが、是枝作品はさらに時間のあるときでないとちゃんと見れないのでなかなか手がでずまだ見てない作品も多いです。
そんな中、やっとこさ見たのがこの作品。イマイチ内容を理解してないまま借りてきて何が出てるくるのか？とどきどきしながら見ました。もう「誰も知らない」みたいな重いのはご勘弁、と祈りつつ。

あらすじをまったく知らずに見たので、阿部さん演じる主人公の心情、家族関係がいまいちつかめないまま見てましたので、数年ぶりの親戚の集まりに参加した子供的な目線で見ました。そういえば、何年親戚にあってないんだろうと自分を省みて思わぬ重みが圧し掛かってきました・・・

知っておくと見やすくなるのは。
主人公、阿部さん演じるリョウタには兄が居たのですが交通事故に巻き込まれて死亡。近所の子供を守ろうとして犠牲になったそうです。リョウタには奥さんも子供もいますが奥さんが×一で子供は奥さんの連れ子。なのでリョウタの実家だと居づらい雰囲気がどうしてもあり。
リョウタの父親は原田芳雄さん。父親は無口で元医者。ぶっきらぼうなところがありますがなんだかんだ優しかったりして原田さんに合ってました。こういう役をもっと見たかったんですけど。希林さん演じる母親は父親と対照的によく話して面倒見のいいお婆ちゃんっぽいんですけど。亡くなった長男への思いが強くこの映画で何度か重い影を残します。蛾のシーンとか・・・助かった子供をいつまでも招いて重い空気にするとか・・・

ストーリーとしては特に劇的なドラマがあるわけでもなく。帰省した数日の話のみで、誰かが亡くなって、とか遺産相続でどろどろの愛憎劇が、みたいなのもございません。特に説明セリフらしきものも省かれてるので上の人間関係をちゃんと把握していないとよく解らない点も多々あります。

なので、この映画の展開の目線はリョウタの息子のアツシからなのかもしれません。ストーリーの目線とは別で。
義父のリョウタも仕事で上手くいってないようで、ただでさえ居ずらい実家がもっと窮屈そうに。しかし、その理由は奥さん以外知らず。幼いアツシにはそんなことはもちろん解らず。祖父母は招いてくれてますけどどうしても血がつながってない子として他の親戚の子と何かが違ったり。呼び方とか。

そんな子供のころ思った、帰省すると親戚の間で広がる親戚同士の会話から親戚間の微妙な空気を読み取るアレに近い感じの映画です。大人の話なので聞いてもよく解らず、単語だけが記憶に残り、そこから想像して読み取る感じに似てました。

この点に関して、是枝監督の真骨頂と絶妙なキャストの妙もあいまって見事な空気を作り上げてます。

何が残るのか、と言われれば。
久々に田舎に行こうかな、そう思わせてくれる映画です。私は親戚とぜんぜん顔を合わせおらず。移動距離もあるのと、顔を合わせていないと、どんどん億劫になるので駄目ですね。
盆明けに見ると駄目な映画です。ぜひ盆前、７月くらいに見てください。

総評：★★★★☆－
映像 （4）　構成力・展開 （4）　脚本（3） 役者 （5）
演出力 （5）　キャラクター （3）　オリジナリティ（4）
五段階評価です

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