パージ　【ジェームズ・デモナコ監督】

ＤＶＤで鑑賞。

去年に話題になっていた作品らしいのですが完全にノーチェックでＤＶＤ化を待ってました。
設定が無茶苦茶なんですけど、これをどうするんだろう？と期待もありました。
なんたって一晩だけどんな犯罪も許される夜、“パージ”の話。直訳すると粛清とかになるんですね。このなんでもありの夜、人はどう行動するのか。

エンターテイメント映画ではなくテーマを投げかけて考えさせられる作品。
恐らく、痛快や、誰かをやっつける映画などを期待してみると気分が悪くなるだけの映画だと思います。

この映画の恐ろしいところは、無法地帯となって虐殺が起きる、ではなく。
法の下、なんでも有りの時間が設定され、その中で起こる悲劇や惨殺を描いてます。

こんな法律が出きるわけない、と思いたいところですが。
排他的な法律が出来ればこれに似たようなことがおきても不思議じゃないわけで。
そんなのは人種差別のあった昔の話と一蹴することも出来ず。人種差別が根絶されたわけでもなく。今なお続いてます。そして、酷い時代は昔は昔でもはるか昔ではなくちょっと昔。まだ１００年も経ってないわけで。そんな中、世界の情勢を見ますと。ヨーロッパは移民、難民問題が発生し。アメリカは選挙で保守系が票を集め。日本も島国ゆえ、あとは難民問題の行く末を考えるとどうしても排他的になってしまいます。その感情がピークを迎えればこういうこと、似たようなことがおきても不思議じゃなく。アメリカなんて黒人さんからすれば似たようなことが今も起きてる！って話でしょうし。

銃社会もそう。
法律なんて関係なしに事件は起き続けてます。
昨日も乱射事件があったと流れてました。恐ろしいのは、驚きが薄れてきたところ。これが日常になってしまうのが何より恐ろしい。一応、パージの夜に使える銃火器はランク指定あり、なんでもＯＫというわけではないようですが、ああも簡単に銃が手に入る社会ってのもアメリカ近年の闇ですよね。

ストーリーに関してはそれでももうちょい引っかかりは考えてほしかったかな。
けど、子供ってこうですよね。思い立ったが吉日とばかりに行動しちゃいますし。
娘も、反抗期を考えれば解らなくもないですが・・・

ラスト近くの母親の行動は清廉さは保てるのか？とイマイチそれでいいのか？という気持ちが強かったですけど、一撃かましてくれたので少しすっきりしました。

あと、アメリカのシャルター信仰は絶対ですね。
核攻撃のとき、ハリケーンのとき。シェルターに入れば安全、安心はどの作品のキャラクターでもブレないです。
ただ。
毎回、それで命を落したら、追い詰められる人が多く。
日本人は大空襲の体験などからシェルター、防空壕への信頼薄いような。
ヨーロッパの人は家の中が安全、安心と思うようなイメージあり。

今回のパージの夜に関しては、固く閉ざして守るというのは安全なようでどこかに穴があれば崩壊しますし、火器でなくても重機を使われたらどうなんだろ？それこそ、車は指定武器ではないので安全ではないような。
この辺りのアメリカ人のシャルター信仰も突っ込みいれたくなる映画でした。

個人的に不思議だったのはイーサン・ホークが普通の父親が久々でした（笑）
私の見る作品は大抵、小悪人ばっかでちょい飽きてきたので。「ビフォア～」シリーズとか見てればいいんですけど、あのシリーズとか見てないんですよね。

見てて楽しい映画では、まずないです。胸糞悪くなる映画と周りには言ってます。
万人受けどころかコレを見て面白い！という人は・・・ちょい危険かも。楽しいという捉え方をしたかたは。
テーマが面白いは良いとと思いますが。私もテーマとして面白かったですけどエンターテイメント作品としてはイマイチでした。

総評：★★★☆☆－
映像 （3）　構成力・展開 （3）　脚本（3） 役者 （3）
演出力 （3）　キャラクター （3）　オリジナリティ（4）
五段階評価です

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